度肝を抜かれた、という言い回しを使うならば、この時ほどそれが的確である瞬間は、これからの人生でまたあるかどうか。それほど衝撃的な旗揚げ戦でした。
長与千種、KAORU,ボンバー来島、いや光。このあたりのベテラン選手がそれなりの試合を見せているのはわかるのですが、この旗揚げ戦がデビューとなる新人選手たちの技術の高さ、そして気迫。一気に引き込まれる自分にとまどいながらも、小生、時間の経つのを忘れて画面の向こうの選手たちを応援していました。
今までの女子プロと何が違ったのか、と言われれば、おそらく一番いあがるのがそのプロレスに対する思想でしょう。この時期、またその後にも数多くの団体が現れ消えていくのですが、そのほとんどが強面の悪役レスラーに対する、アイドルレスラーという姿勢であったのに対して、ガイアのプロレスは、まさにプロレスでした。簡単に言ってしまうと、全日本プロレスの試合が女子選手によって行われている、とでも言えばいいのでしょうか。ゆっくりとした組み立てから確固たる技術に根ざした受けのプロレスでございました。
それは衝撃でしたよ。それまでの女子プロ、と言えば、髪の毛をつかんでの取っ組み合い、いわゆるキャットファイトみたいなので、極め技も見栄えがいいけど説得力に欠けるものが多かった。その点、ガイアのプロレスは本当の意味でプロのレスリングでした。
当時から賛否両論ありました。女子が男子的なプロレスをしてどうする、的な。ですが、それまで男子のプロレスばかり楽しんできた小生にとって、ガイアのプロレスは女子プロレス入門用にまさにうってつけでした。
こうした脅威の新人と呼ばれた一期生を始めに、数多くのフリーランス選手たちが作り出す夢の対決が売りだったこの団体も、その内パンクラスルールっぽい試合をしたり(打撃関節のみでフォールなし)、10分で決着をつけるハイスパートルール、など、色々と飽きさせません。一時期、団体抗争、またはチーム抗争の様なありきたりの展開に落ちそうなところを、長与選手の一声でもう一度、個人と個人の勝負に立ち返ってみたり、切り替えの上手な団体でした。
ま、そんなガイアジャパンもその切り替えのよさがたたって2005年に解散するのですが、それがまた気持ちのいい程にきれいな終わり方でした。
よくスポーツ選手の引退には色々な形がございますな。最後まで現役にこだわってずるずると、そして気づいたらいなくなっている選手。怪我のせいでやむなく引退。衰えを感じつつ有終の美を飾り、スッパリやめる選手。そして、キャリアの最高潮で惜しまれながら辞める選手。
当時は女子プロレス戦国時代を迎えておりまして、全女という一大帝国が消滅したあとはそのOG達が各地で新団体を旗揚げ、新しい覇権を競っておりました。ですが、現実は厳しいかな。そのほとんどが1,2年ほどで消え去っていくのです。その点、おそらくガイアは衰えを見せながら、惜しまれつつ辞める事ができた稀有な団体なのです。
このあたりはほかのサイトやプロレス誌に書きつくされたことですから、詳しいことは割愛しましょう。次回からはこのガイアに所属した選手の個人的な感想と意見を、本当に書きたかったことを書いていきます。
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